「流跡」と「きことわ」を読んだ

    

 

流跡もきことわも同じ著者の作品.
図書館で何か短めの本を読みたいなーと探していたらちょうどいい感じの薄さのハードカバー本が2冊,同じ著者で並んでいたので両方読んだ.
特に事前情報はなくて,たまたま先に流跡を読んで,それからきことわを読んだ.
どうやら流跡がデビュー作だったらしく,その後のきことわで芥川賞を受賞されているよう.

 

流跡の感想.
走馬燈のような,眠っているときに見る夢のような小説だった.
最後は当然そうなるだろうなと予想のつくメタな終わり方をするが,最初の書き出しの印象がすごくて,このままするすると進むのかとも思った.
煙突の話(部分?)が1番好きで,わたしだったらきっと金魚に手を伸ばしていたと思う.

 

読んでいた途中で調べたリンク集:

 

きことわの感想.
とてもよかった.
流跡と似た文体や語彙で,同じ人が書いたのだなと感じられる.
書名が独特だったから,何か元になる語があって登場人物の名前も決められているのかと考えたけれどそういうわけでもなさそう.
でも2人ともほどよく重い雰囲気をまとった名前になっていてそれも良さ.
2人の記憶の曖昧さや夢の曖昧さがあり,しかし2人だけの世界では閉じずに第三者もしっかり登場するし,時間も流れている.
俗っぽいことを言うと,「百合では!?」と反応してしまった…….
激しい起承転結はなくて,日記のような緩やかなストーリーがある.
こういう小説は好き.つまり純文学が好き.
きことわは全体的に好きだった.中でも貴子の父親と和雄が喧嘩する場面が好き.

 

読んでいた途中で調べたリンク集:

 

流跡

流跡

きことわ

きことわ